だいたい吉祥寺に住まう

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地中海史の遺構

1980年代から、ほぼ毎年ヨーロッパを中心に古代ローマの遺構に足を運んでいます。
古代ローマの足跡は非常に広範囲で残っており、現地に訪れると書物からだけでは計り知れない歴史が、実感として伝わります。
コロナ禍になってから、今の所は海外へ行けないままの数年が過ぎました。
ここでは、20年以上前のフィルムで撮影した写真や数年前の写真を織り交ぜてお見せします。
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本村凌二(Motomura Ryoji) [西洋史家 東京大学名誉教授]

2024.07.09 更新

ローマ劇場内の通路。外の日差しとはうらはらに、通路の日影はひんやりとする。
ローマ劇場は、非常に保存状態が良い遺跡である。1981年に凱旋門とセットで世界遺産に登録されている。
毎年、夏にはオランジュ音楽祭が開かれ、オペラの演目が上演されるらしい。
私が訪れた2015年にはその夏に「イル・トロヴァトーレ」(ヴェルディ作曲)、「カルメン」(ビゼー作曲)が上演されたようだ。
歌や演奏が、この通路にどのように反響するのだろうか。

2024.06.18 更新

アウグストゥスの時代に建造されたローマ劇場。
オランジュには、この日にパリから日帰りの予定で電車で移動した。まず凱旋門を見てその後に劇場近くで昼食をとった。当然のようにワイン付きである。
南フランスらしく日差しは強いが乾燥した気持ち良い風も感じる日だった。
2000年近く前の劇場で観客席にゴロリと横になり、かぶっていた帽子を顔に乗せ、15分くらい目を瞑った。贅沢な昼寝である。

2024.05.28 更新

南フランスのオランジュにある凱旋門。前20年頃に建造されたもの。
保存状態が良くレリーフも見事なものだった。
静かな街の中に違和感なく街の風景のひとつになっている。

2024.05.07 更新

広い敷地の中に、復元した建物が点在している。ローマ時代に一般的な生活がどう営まれてきたのかがわかる個人の家や、上流階級の家屋(Villa)、公衆浴場(thermae)なども復元されていて、ローマ時代が現実味を持って体験できる空間だった。テルマエの広い室内の一部に、お湯を溜めている場所はどうみても日本の湯船と変わりはない。

2024.04.09 更新

カルヌントゥムは、ローマ帝国の駐屯地だった場所。ハドリアヌス帝が都市を築き、マルクス・アウレリウスはここで『自省録』の一部を執筆したという。現在は博物館や凱旋門、円形競技場跡などが残っている静かなエリア。写真は、円形競技場の模型。

2024.02.03 更新

20年以上前には、まだフィルムを入れたカメラを持ち歩いていた。そのため、プリントで保存していたものは褪色してしまい、こんな色調で残っている。デジタル処理で色を調整してもらってもいいのだが、まあこれはこれで時間の経過という味があるということでこのままでお見せする。ここは、ポンペイのどこかだろう。写っている後ろ姿の集団は、たぶん当時一緒に行った学生たちではないだろうか。ちょっとしたいたずら心も含んだ写真だが、今となってはぼんやりとした記憶のひとコマである。