写真家、岡田敦さんの『エピタフ 幻の島、ユルリの光跡』(2023、インプレス)に次ぐ著書が、本作である。
現在は上陸が制限されている根室市にある無人島、ユルリ島はかつては住民もいた。
昆布干しの労働力として馬が1950年ごろに連れて行かれた過去がある。時代が変わり、71年に最後の住民が島を離れた。
最盛期では30頭ほどいた馬は、そのまま島に残された。
岡田さんは、許可を得て2011年から2019年まで島での撮影を続けてきた。その集大成が、本作『ユルリ島の馬』(青幻舎、2025)である。
約200点に及ぶ写真は、季節や時間の移ろいを感じさせながら、植物の生命力と馬の表情や佇まいが胸に迫ってくる。
静かで深みのある写真の数々に、生きることや死にゆくことを考えずにはいられない。
