ついにやりました。昨年4月に1巻、2巻を同時に刊行し、その後は4ヶ月おきくらいに1冊ずつ刊行するという予定はちょっと遅れただけで、2年弱の間に8巻の刊行です。ひとりで4000年を書き切るというのは、歴史学のアカデミズムの中で長い間過ごしてきた学者にはなかなかできない勇気です。無茶だと思っていた人もいるでしょうし、そんなのできるはずもないと思っていた人もいるだろうなと予想はするのですが、本村凌二さんは粛々と原稿を書き進めたのでした。 歴史は、言うまでもなく過去のことだから、過去そのものが変わるわけはないのですが、その時の「見方」によって、アウトプットは変わってくるものです。新発見がなくても、その時の歴史書は、その時代を反映する思想が加わります。この全8巻の地中海史は、遠い時代の物語のようで、実は現在から透けて見える事ごとや考えるヒントも散りばめられています。
この大作は、読者がいてこその完成です。
歴史に深い興味がなくても、現代の目撃者のひとりになることを、お勧めしたい偉業です。





