日高と聞いてピンと来る人は、恐らく競馬ファンの方々だろう。太平洋に面した裾野は沢山の牧場に占められていて、日本の競走馬の八十%以上を産んでいる地域である。だがそして?となると、首をかしげてしまう。
それもあって、地元民として驚いたのは昨年六月、この日高山脈が国立公園に指定されたことだった。国立公園=観光地という観念が抜けないため、襟裳岬以外に地元で思い浮かぶ景勝地が無いのだ。山脈が昔から産業ともレジャーとも無縁な原生林というイメージはあったものの、この指定が地元民のそうした意識に変化を与えるほどのものでないのは確かだった。逆にそれが指定の要件だったようなのだ。
この指定の活用はこれからの課題だが、私には春の山菜、夏の渓流釣り、秋のきのこ採りの適地なのだ。それだけで十分だ。
高田則雄

日高山脈のイメージ