93歳の未亡人テルマは、このところ少し記憶力が悪くなったり、足元がややおぼつかなかったりするが、なんとかひとり暮らしを続けている。近くに住む孫のダニエルの助けや、娘夫妻の助けを借りながらの、ちょっと寂しいけど気楽な生活だ。
ある日、電話によるオレオレ詐欺に引っかかってしまう。ダニエルが捕まったので保釈金が必要だというのだ。急いでお金を送金してから、実はテルマは自分が騙されたということに気が付く。
相談した警察は、逮捕が難しいと本気になって話を聞いてくれない。娘夫婦は、そろそろ独りで暮らすのは無理だと陰で話し始める。そして、テルマは自分が騙されたことを何としてでも解決したい。
そんな中、テルマはお金を送った先の私書箱の住所を頼りに、老人ホームで暮らす知人のベンと連れ立って、周囲には内緒で、お金を取り戻すために出かけるのだった。それも、ベンの電動スクーターに2人乗りをしての冒険だ。
テルマを演じるジェーン・スキップは長い芸歴の中で、初めての主役だそうだ。年老いた嘆きや、負けん気の強さ、そして孫への心配で取り乱す状態など、観る側にとってすんなりと同化や共感できるのは彼女の演技力の賜物に他ならないだろう。「行っちゃえ!、やっちゃえ!」と思いながら、テルマの暴走とも言えるひとつひとつの行動に、どこか羨ましささえ感じながら楽しんだ。
そして、ダニエルは『グラディエイターII 英雄を呼ぶ声』で、皇帝カラカラを演じた俳優である。あのイカれて嫌な奴のカラカラが、こんな優しいダニエルなのかというのも、見比べるのも面白い。
事件は解決するのか、どうなるかが気になったら、やっぱり映画を観るしかない。
2026.2.7(M)





