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2026.03.12 更新

ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン(2026)

今年6月で84歳になるポール・マッカートニーは、ビートルズ解散後もウイングスやソロとして活動を続けている誰もが知るミュージシャンだ。ビートルズをリアルタイムで聴き熱狂していた世代は、今頃は70代半ばよりも年上だろう。それを思うと、実はもう多くの人々にとってビートルズの曲は多少知っていても、どれだけ世界中の若者が熱狂したのか、その後の音楽や文化にも影響を与えたのかは、なかなか分かりにくくなっているかもしれない。
そんな中での本作だ。全世界で2月19日の1日だけ劇場で上映されるとあって、これは観るしかないと足を運んだ。
映像の始まりはビートルズの解散時期、バンドの中で感じていた苦悩やジョンに対する長い間の思いなどが若い頃のポールを中心とした映像でまとめられる。そしてリンダとの出会いと、喧騒の中から離れて自然の中で暮らし家族と過ごしている時期、音楽に向き合おうとしてウィングスを結成するがビートルズという大きな壁に塞がれそうになる多くの場面やメンバーとの確執など、知っていることと初めて観る映像が散りばめられながらも、ポールの軌跡を見せられる。
音楽への真摯な取り組みは、言うまでもないのだが、私はリンダのチャーミングさと強さに心惹かれた。なぜリンダをバンドに入れたんだろうなあとぼんやりと思っていたままの私の疑問は、多くの人の疑問でもあっただろう。それの答えも見出せる。それから、まさか日本で逮捕された時の映像までも見ることができたのもビックリだ。
流れる曲は全て有名で知っているものばかりなので、受け取る側は素直に心を委ねられる。しかし見たことのない映像に心を揺らされながら、妙な高揚感が続いていった。タイトルも言うまでもないが、Band On The Runをそれぞれ観客の心の中で流しながらという効果があり、私もまんまとそんな状態で映像に魅入ったのだった。
ちなみに、私が行った映画館はほぼ満席で、観客の推定平均年齢は、60代後半くらい。8割くらいが男性だった。
70年代のポールを再度知ることで、またビートルズやウイングスが聴きたくなった。

(それから、びっくりしたのは、1日しか上映しなかったっていうのに、もうアマゾンのプライムビデオで観れるのです、ちょっとどういうことですかと思ったのも本心です。)

2026.3.11(M)

星評価 3.9
地中海世界の歴史8