兄のダイキ(安田章大)と妹のノゾミ(のん)の、切なくも愛おしいドラマだ。自閉症のダイキは、周囲の人々に助けてもらいながらも清掃員として自立し一人暮らしをしている。ノゾミはカウンセラーの仕事をしながら、近くに住む兄を見守る生活を送っている。母が幼い頃に亡くなり、父は家庭的ではなかった家族の中で、兄と妹は支え合って生きてきた。
そんなノゾミに結婚話が持ち上がり、ダイキの心も大きく揺れる。
真面目に働くダイキを、親しい人々は好意と温かい理解の上で見守るが、知らない人々にとっては行動が理解できなかったり、一見すると非常識に思える行動で摩擦を生むこともある。それをサポートするノゾミは、時にやるせない気持ちをダイキにぶつけてしまうこともある。
しかし2人の根底にあるのは、お互いを大事に思いやる心だ。
子供の頃から共通の思い出は、2人にとっては辛かったり嬉しかったりのエピソードが連なり、他人には入り込めないような絆があるのだろう。
物語の途中で、胸がギュッとなるような事が何度も起こり、観ている側としてはだんだん親戚みたいな目線になり彼らの幸せを願っているのに気が付く。
理解しにくい自閉症だが、素人目から見て安田章大は非常に努力して役づくりに臨んだだろうと推察する。そして好演しているように感じた。のんは、年頃の等身大の女性を細やかに演じており、観る側として大きく共感できた。
現実として自閉症を家族に持つ多くの人々は、それぞれに大きな苦労を重ねている話は周囲で見聞きしている。ダイキのように自立ができるのが夢であり、穏やかに過ごしてくれることを望みとしている家族たちを知っている。そして、それがなかなか叶わないのも知っている。
映画としても難しい題材だが、幸せな気持ちで満たされる作品だった。
2026.10.4(M)





