だいたい吉祥寺に住まう

ゆるく楽しく、
都市住まいをする大人のために

2026.07.31 更新

夜の恩寵

夜の恩寵  三浦しをん 著

三浦しをん 著
集英社 2026

Amazonで見る

5編の物語で構成された本書は、「カリスマ」をテーマにして描かれていると、帯に記してある。
どんな「カリスマ」を持つ登場人物が現れるのかと思ったら、1話目では、まさかそっちかというスピリチャル系の人が現れた。若く魅力的な継母が、田舎町でスピリチュアル系に目覚めていく「神馬に乗る女」。
5編がそれぞれ無関係の物語ではなく、実は繋がりがあり、読み進めて行くことで、小さな狂気のつながりやパラレルワールドのような世界が垣間見える。2話目からは一気に読み進めたくなり、ダークなしをんワールドを「恩寵」として受け取っていくような気持ちで読んでいく。そしてまさかの、しかし少し予測していた5話の結末で、してやられた感をしっかり受け止めた。

本のデザインがこれまた素敵で、ベースになっている色が茄子紺をもっと深く暗くしたような美しく怪しい色である。夜の闇が静けさだけではないことを示唆しているようだ。挿画の妖しさも相まって、読む前にこちらの心もそんな雰囲気の世界に入る準備をしてからページをめくるのを後押ししてくれる。

作品の初出を記すページに「神馬に乗る女」は、山本草介氏に聞いた話から着想した、とのこと。ちょっとびっくりしてしまったのが本音だった。山本草介氏、ってこの人です。

2026.7.30(M)

星評価 4.2
地中海世界の歴史8